しじみに含まれるタウリン
しじみに含まれるタウリン
しじみに含まれるタウリンは、アルコール摂取の影響から肝臓を保護したり、肝機能回復に作用したりするほか、脳機能の活性や目の機能の改善といった多様な効果が期待できる成分です。
しじみは肝臓によいことや、二日酔いに有効としてよく知られている食材ですが、その効能はタウリンの作用に支えられているものでもあるのです。
この記事では、タウリンとその主な作用や効果・効能についてご紹介します。
しじみに含まれるタウリンとは
しじみに含まれるタウリンとは、硫黄を含んだ含硫アミノ酸の一つで、貝類一般やイカ・タコなどの軟体動物、魚の血合いなどに豊富な成分です。
人の体内でも合成できるタウリンは、同じ含硫アミノ酸であるメチオニンやシステインから生成され、人体内では心筋や網膜に多く含まれています。
現在タウリンは、厚労省により「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」に区分され、ドリンク剤やサプリメントの原料となるほか、医師の処方せんを要する医薬品としても販売されています。
化学的に合成されたタウリンは処方薬として扱われ、肝臓で合成される胆汁酸を増やしたり、肝細胞を保護したりする効能が主となっています。
一方、ウシの胆汁や魚介類から抽出したエキスは、食品添加物として市販されている粉ミルクなどに配合されています。
タウリンの過不足の影響とは
タウリンはしじみなどの魚介類や肉類などの食品にも含まれる成分ですが、化学合成された医薬品やドリンク剤などの材料として扱われる場合は高用量となります。
そのため、規定量の上限を超えて摂取した際には、副作用が発現する可能性が示唆されています。
医薬品としてのタウリンを1日に3g(栄養ドリンク剤3本相当分)摂取した場合、副作用が起こる確率は2.82~3.57%となっています。
その主な内容は、吐き気や下痢、腹部の不快感や食欲不振、便秘や軟便といった症状のほか、脱力感や発熱、眠気などが挙げられます。
逆にタウリンが不足した場合には、肝機能や目の機能が低下したり、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病を招きやすくなったりすると考えられています。
タウリンの主な作用や効能とは
アルコールからの肝臓保護や肝機能回復
タウリンは、アルコールの代謝を促し効率よく二日酔いを回復させる効果が期待できる成分です。
二日酔いの大きな原因は、アルコールが代謝される過程で発生するアセトアルデヒドという物質で、その解毒には肝臓に大きな負荷をかけることが判っています。
タウリンにはALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)を活性させる働きがあるため、アセトアルデヒドの分解を早めることで肝臓の負担を軽減し、二日酔いの回復に役立っているのです。
また、タウリンはアルコール代謝によって疲弊した肝機能を回復させる効果に優れており、二日酔いの回復以上にその効能が認められています。
アルコールは代謝される過程で、活性酸素を過剰に発生させて細胞を傷つけてしまいますが、タウリンはアルコールが発生させる有害物質から細胞を保護する作用があるのです。
タウリンはアルコールによるタンパク質の変性を防いだり、細胞を酸化から守る抗酸化物質などの活性を増強したりして、肝臓を保護しその機能を回復させるために効果を発揮するわけです。
抗酸化作用
タウリンは、アルコール代謝によって発生する活性酸素から細胞を守る抗酸化作用も持ち合わせています。
タウリンが細胞を酸化から守る過程は、細胞内の脂質が酸化分解されるのを抑え、SOD(super oxide dismutase)酵素やビタミンCといった抗酸化物質の作用を復元させるというものです。
また、タウリンには酸化の原因となる活性酸素種を捕捉し、無毒化する作用も認められています。
これらのタウリン特有の抗酸化作用によって、肝臓や腎臓の保護、過酸化脂質の合成の予防といった効果が期待できるため、糖尿病の合併症の予防にも有効と考えられているのです。
脳機能の活性
タウリンには、アミノ酸の一種のGABA(ギャバ;γ‐アミノ酸酪酸)などに代表される、脳内の興奮を鎮めリラックス効果を発揮するグリシン受容体を活性化する作用があり、不安感や緊張を解消する効果が期待できます。
また、タウリンの持つGABAなどの物質に対する作用によって、加齢に伴う記憶力や認知機能の低下の改善にも有効と考えられています。
目の機能保護
タウリンは人を含めたほ乳類の網膜に高濃度で存在しており、網膜を酸化から保護して正常に機能するようにも作用します。
加齢などの影響で体内のタウリンの濃度が低下すると、目の機能を保護する作用が衰えていき、目の疲れや乾燥、疲れといった症状のほか、視力の障害などが現れることになります。
また、網膜を守る働きをすることで目薬の有効成分としても用いられ、塩素の刺激から目を保護するほかに目の新陳代謝を促したり、角膜の損傷を治療したりする成分として活用されているのです。
しじみに含まれるタウリンは人体の健康に有益な効果を発揮する成分ですが、加齢に伴い体内での合成量が減っていくため、普段の食事から意識的に補うことをおすすめします。