運動前にもしじみ
運動前にもしじみ
しじみは肝臓の代謝や解毒機能を後押ししたり、貧血を予防・改善したりするために作用する成分を含んでいるため、人体の健康に有益な効果をもたらす食品です。
しじみの摂取で得られる効能には、筋肉疲労の軽減や持久力の向上なども挙げられるため、運動前に摂ることも推奨されています。
この記事では、運動前にしじみを摂ると、それに含まれる成分の働きによってどのような効果が得られるのかをご紹介します。
運動前にしじみの摂取がよい理由とは?
しじみはオルチニンをはじめ、多様な栄養成分を含む栄養価の高い食品です。
エネルギーを多く消費する運動前にしじみを摂ると、運動効果によい影響をもたらすといわれています。
ここでは、運動前のしじみの摂取によって、具体的にどのような効果が期待できるのかをご紹介します。
筋肉の疲労を軽減させるため
しじみの有用成分であるオルチニンは、人体に有害なアンモニアを肝臓内で無毒化するオルチニン回路を活性化させる作用を持つため、疲労回復の効果が期待できます。
アンモニアは、タンパク質の代謝や激しい運動などによっても発生する物質で、体内の濃度が高まると全身に疲労を感じやすくなるのです。
もともとオルチニンは人体内に存在する遊離アミノ酸の一つで、肝臓において毒性のあるアンモニアの解毒をおこなう肝機能をサポートしています。
運動前にしじみを摂ることで、その中に含まれるオルチニンを補うことになるため、人体に疲労をもたらすアンモニアの解毒効果が高まるわけです。
また、タウリンやメチオニン、シトルリンといったアミノ酸も、肝臓の代謝や解毒機能を助ける働きのある成分です。
特にシトルリンは、オルチニンと同様にアンモニアの分解・排出に作用するうえ、血行の改善にも効果が期待できるため、アンモニアの排出を促し疲労回復に役立っています。
しじみに含まれる成分の働きでアンモニアが無毒化されることにより、筋肉疲労も軽減されることにつながるため、しじみは運動前にもおすすめできるのです。
筋肉への酸素供給を促すため
冒頭で触れたように、しじみが貧血対策にも有効な理由は、鉄やビタミンB12といった栄養成分が多く含まれているためです。
これらの成分もまた、運動前のしじみの摂取を推奨するために作用しています。
鉄とは赤血球内のヘモグロビンの構成成分として、全身に酸素の運搬作用を担うミネラルの一つです。
栄養素としての鉄は世界的にも不足しやすいのが特徴で、それによって起こる代表的な症状が貧血ですが、体内が酸素不足になることで動悸や息切れ、疲れやすさといった症状も起こります。
鉄不足になり血中のヘモグロビン量が減少すると、血液が全身に十分な酸素を運搬できず、酸欠状態になるわけです。
また、ビタミンB12は赤血球が作られる際に働く水溶性のビタミンで、血中の赤血球と結びつき、酸素を運搬するヘモグロビンの合成を助ける作用があります。
しじみにはビタミンB12が68.4mcg/100gと、突出して多く含まれているのが特徴で、その作用によって赤血球の生成が増えることにより、筋肉への酸素の供給が促されるようになるわけです。
安静時よりも多くの酸素を必要とする運動の前に、鉄やビタミンB12を多く含むしじみを摂ると、運動による疲労回復を後押ししたり、持久力を維持したりするのに役立つと考えられています。
持久力を向上させるため
しじみにはさまざまな栄養素がバランスよく含まれていますが、特にしじみのたんぱく質には、全てのアミノ酸がバランスよく含まれているのが大きな特徴です。
また、必須アミノ酸を構成するバランスを数値化して評価する「アミノ酸スコア」が100点の食品であることが、運動前にしじみが適している理由にもなります。
アミノ酸には、筋肉や骨・内臓、血液やホルモンなど、人体を構成するために必要なたんぱく質の元となる非必須アミノ酸があり、中でも「アラニン」は持久力向上に役立っています。
アラニンは肝臓で作られ、筋肉や脳に送られるエネルギー源であるブドウ糖の生成に用いられる以外に、肝機能を強化してアルコール分解を促す作用のある非必須アミノ酸の一つです。
特に運動時にアラニンは、エネルギーを生み出す過程に体内で作られ、肝臓に移動したのち、エネルギー源のブドウ糖を生成するために再利用されます。
多くのエネルギーを消費する運動時や長時間の空腹など、血中のブドウ糖濃度が一定以下になると、脳は骨格筋を分解してアラニンを作り出し、エネルギー生産のための材料とするのです。
体内にアラニンの量が充足していると、ブドウ糖を補給できずにエネルギーが減少しても、アラニンを生成するための骨格筋の分解を抑えられるわけです。
そのため、骨や筋肉量を減らすことなく、筋肉疲労をやわらげたり長時間エネルギーを供給したりできるようになります。
アラニンを含むしじみの運動前の摂取は、運動する際に必要なエネルギーを持続的に供給するため、持久力の向上に役立つのです。