しじみを食べて健康になろう

国内のしじみの産地

国内のしじみの産地

しじみは北海道から九州までの、主に汽水湖や汽水域で獲れる小型の二枚貝です。
汽水域とは淡水と海水が入り混じる場所で、地球上の水域ではもっとも小さく、気象や人為による環境変化が大きい場所でもあります。
しじみは古くから庶民的な食べ物として知られていますが、栄養価が高く、身体によい食物として重宝されてきました。
現在でもおいしくて安価であることは変わらず、さまざまな食べ方が楽しめる利便性の高い食材です。
この記事では、日本人になじみ深いしじみの国内の産地には、どのようなところがあるのかをご紹介します。

しじみの主な種類と特徴とは

日本に生息しているしじみは3種類で、外観はよく似ているものの、生態面では大きく異なります。
それぞれの種類とその特徴をご紹介します。

ヤマトシジミ

ヤマトシジミ(大和蜆)は、日本でもっとも一般的なしじみで、しじみ漁業の漁獲量の99%を占めるといわれています。
単に「しじみ」といえばヤマトシジミを指し、学名を「CORBICULA JAPONICA」といいます。
殻長は3センチ前後で、正三角形に近く黒褐色や茶褐色をしており、光沢が強いのが特徴です。
殻のふくらみや表面の輪肋が他のしじみと比べて少し弱く、殻の内面は白紫色のものが多いのも特徴に挙げられます。
雌雄異体で卵生にて繁殖し、産卵期は春から秋口までとなっていて、寿命は10年以上が一般的です。
ヤマトシジミが生息しているのは塩分を含む汽水域で、その砂泥底となります。
1万トン以上の生産量がありますが、汽水域は汚染や環境破壊が起こりやすい水域のため、今日では激減しているのが現状です。
旬の時季は一般的に春から初夏とされていますが、年間を通して流通しており、価格も比較的安価となっています。

セタシジミ

セタシジミ(瀬田蜆)は琵琶湖の固有種で、かつて滋賀県では重要な水産物でしたが、環境悪化や乱獲などから激減しています。
現在ではローカルな存在となっており、琵琶湖周辺や京都などで流通し、人気を集めています。
琵琶湖から流れ出る瀬田川に多いしじみの意味から名づけられ、学名を「CORBICULA SANDAI」といいます。
殻長は3センチ前後になり、ふくらみの高い正三角形で、黒もしくは茶色をしており光沢が強いのが特徴で、表面の輪脈は弱くて広く、殻の内面は紫色をしています。
雌雄異体で体外受精をおこない、産卵期は6月から10月となっており、旬の時季は冬から春とされています。
セタシジミの主な生息域は淡水で、底質が砂や砂礫・砂泥の、浅瀬から水深10メートル域となっています。
漁獲量は昭和32年の3072トンをピークに年々減少し、昭和61年以降には300トンを割り込み、平成19年には52トンと、ピーク時のおよそ1/120まで落ち込んでいるのです。

マシジミ

マシジミ(真蜆)は、河川など完全な淡水域に生息するしじみです。
もっとも普通に見られるという意味合いから名づけられ、学名を「CORBICULA LEANA」といいます。
ヤマトシジミやセタシジミと異なり雌雄同体で、体内受精をおこない繁殖するのが特徴です。
繁殖期は4月から10月で、鰓葉の中で稚貝になるまで育てたあとに放出し、旬の時季は秋から冬とされています。
形態的な特徴としては、殻長が3センチ前後になり、ふくらみの弱い正三角形で、黒か茶色をしています。
表面の輪脈がくっきりしていて、光沢は鈍く、殻の内面は濃紫色をしているのも形態的特徴に挙げられます。
マシジミは河川やため池、水路といった少し流れのある場所で多く見られましたが、化学肥料や農薬の影響、河川の改修や農地整備などの環境変化により、ほとんど姿を消しています。
古くは山間部や平野部などで食用として利用されていたものの、現在では市場に流通することもほとんどありません。

国内のしじみの産地とは

しじみの産地は、北海道から九州までの汽水湖と河口域です。
主な産地となっているのは、

  • 北海道網走湖、パンケ沼、天塩川
  • 青森県十三湖、小川原湖
  • 岩手・宮城県北上川
  • 茨城県涸沼
  • 愛知・三重県木曽川河口
  • 大阪府淀川河口
  • 島根県宍道湖、神西湖

などが挙げられます。
これらの他にも産地はあるものの、しじみの漁獲量は全体的に減少傾向にあり、現在しじみ漁業が消滅した地域には、茨城・千葉県霞ヶ浦、石川県河北潟などが挙げられます。
そのほか、河口堰の建設により汽水域が淡水化し、しじみ漁業ができなくなった地域は、千葉県利根川河口、岐阜県長良川、九州北部の筑後川などがあります。
しじみが生息している汽水域は、生物の生産量が非常に高く、盛んな漁業がおこなえる環境という特性があります。
その反面、変化も激しく、人間の手による影響を大きく受けやすい環境でもあるわけです。
しじみは日本人の生活になじみの深い二枚貝ですが、生息できる国内の地域の減少によって、中国やロシアなどからの輸入物で補っているのが現状なのです。