しじみを食べて健康になろう

しじみに含まれるオルニチンとは

しじみに含まれるオルニチンとは?

しじみに含まれるオルチニンとは、肝臓内で作用するアミノ酸の一つで、人の体内にも存在している物質です。
食材では特にしじみに多く含まれているほか、チーズやパンといった日常的に口にする食品にもわずかながら含まれています。
肝臓の機能を助け、二日酔いを改善したり疲労を回復したりする効果が期待できるオルチニンは、「肝臓によい食材」として知られているしじみの有用成分のひとつです 。

昔から「二日酔いにはしじみ汁がよい」といわれているのは、しじみに含まれるオルチニンが肝臓に働きかけるためなのです。
日本ではオルチニンの持つ健康効果が判明するよりも前に、しじみの有益な効能が先に知られており、江戸時代には酒飲みに対してしじみを売る商人がいたといわれています。
この記事では、しじみに含まれるオルチニンについてご紹介します。

オルチニンとは

オルチニンとは、アミノ酸の中でも「遊離アミノ酸」と呼ばれるものに属し、体内では肝臓や筋肉に留まらずに血液に溶け込んだ状態で循環する物質です。
遊離アミノ酸とは、特定のタンパク質を構成せずに単独で細胞内や血液中に存在し、必要なときに機能を果たすアミノ酸を指します。
人体に含まれるタンパク質を構成するアミノ酸には20種類あり、体内で合成できない必須アミノ酸9種と、体内で合成できる非必須アミノ酸11種に分けられます。

体内にはこれら20種のアミノ酸以外にも、タンパク質を構成しないアミノ酸なども数多く存在し、オルチニンはその内の一つに当たるわけです。
オルチニンは摂取されると小腸で吸収され、血中に放出されて肝臓や腎臓、筋肉などに移行します。
遊離アミノ酸の状態で存在するオルチニンは、体内でアミノ酸が不足すると血中のアミノ酸を取り入れてタンパク質を構成し、アミノ酸が過剰になると血中に放出されて全身を循環します。
オルチニンの性質などから、血液が遊離アミノ酸の貯蔵庫のような役割を担っているわけです。
アミノ酸は単にタンパク質を構成する材料としての性質を持つだけでなく、体内の至るところで機能を発揮することが判っており、遊離アミノ酸であるオルチニンも多様な機能性を持つ成分なのです。

オルチニンの主な作用とは

オルチニンの主な作用には、アンモニアの解毒が挙げられます。
実際には、オルチニンは肝臓内に存在しアンモニアを解毒する代謝経路の「オルチニン回路」に関わっているわけです。
オルチニン回路は尿素回路ともいい、人体に有害なアンモニアを分解して無毒な尿素に変換する機能を果たしています。
摂取して吸収されたオルチニンは尿素を作り出したあと、肝臓内で再生され、次の尿素生成に再び利用されるため、「回路」という表現が使われています。
オルチニンはオルチニン回路の機能を活性化してミトコンドリアの働きを助け、本来の肝機能を保っていると考えられているのです。
また、体内のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)は、アンモニアによって生産が阻害されてしまいます。
オルチニンはアンモニアを分解して無毒化することで、スムーズなエネルギー生産をもたらし、疲労の回復を促すとされています。
肝臓は栄養素の代謝や胆汁の生成、解毒などの働きを担う、非常に重要な臓器です。
肝機能が低下すると全身の不調を招く大きな原因となるため、肝臓の働きを助けるオルチニンは極めて重要な成分といえるのです。

しじみに含まれるオルニチンの量

しじみ100gあたりに含まれるオルチニンの量は10~15mgで、しじみの個体に換算して35個ほどとされています。
ただし、成人のオルチニンの摂取目安量は400mg~1000mg/日と考えられているため、食品から十分な量の摂取は難しいのが実情です。

しじみに含まれるオルチニンの効率的な摂取方法

通常、生鮮食品の多くは鮮度が重要なため、冷凍すると風味や栄養価が損なわれてしまいます。
しかし、しじみは冷凍することによって、オルチニンの含有量が増加することが実験で明らかになっているのです。
しかも増える栄養素はオルチニンのみで、他の成分の含有量は変わらない点が特徴的です。
冷凍するとオルチニンが増える理由は明らかにされていないものの、生のしじみに比べて8倍も増加したという結果が発表されています。
なお、実験によると、オルチニンの含有量を増やすには急速冷凍を施すのではなく、マイナス4℃の冷凍処理が最適とされています。
しじみを調理する際には、生のまま使うのではなく、一度冷凍してから利用するのをおすすめおすすめします。

ただし、しじみに含まれるオルチニンが元の8倍の量になっても、最低必要摂取量である400mgを摂るためには約140個のしじみを食べる必要があります。
そのため、オルチニンを効果的に摂取するには、サプリメントなどの活用も推奨されているのです。