しじみに含まれるメチオニン
しじみに含まれるメチオニン
しじみには、体内で合成できない必須アミノ酸9種と、体内で合成できる11種の非必須アミノ酸が全て含まれているのが特徴です。
中でも必須アミノ酸のメチオニンは、人体を構成するタンパク質の合成に最初に関わる重要な成分でさまざまな作用を持っていますが、不足すると筋肉や骨、血液などの生成が滞る可能性があります。
この記事では、しじみに含まれる必須アミノ酸のメチオニンについてご紹介します。
しじみに含まれるメチオニンとは
メチオニンとは人体内では合成できない必須アミノ酸の一つで、しじみのほかにマグロやカツオなどの魚介類、肉類や大豆加工食品、ナッツ類などに多く含まれています。
体内では、アレルギーの原因物質であるヒスタミンの血中濃度を下げる働きや、肝臓の代謝や解毒機能を促すために作用しています。
また、抗酸化ミネラルであるセレンの運搬に携わるメチオニンは、体内の抗酸化作用を高める働きがあります。
セレンは活性酸素を除去する抗酸化酵素を合成するために必要な成分で、細胞の酸化を防いだり、過酸化脂質の生成を抑えたりするために作用し、老化防止に有効とされているのです。
メチオニンの推奨摂取量と過不足について
メチオニンの摂取量の目安は、体重1kgに対し10mgとされており、体重50kgの成人ではおよそ500mg/日の摂取が推奨されています。
メチオニンは体内でのタンパク質合成の際、最初に必要となる必須アミノ酸のため、メチオニンが欠乏するとタンパク質がうまく作られず、さまざまな症状が現れることになります。
肝機能を助ける作用のあるメチオニンが不足すると、その低下を招き、血中のコレステロール値が上昇して動脈硬化や抜け毛などの症状が現れます。
また、老廃物の代謝機能が衰えて利尿作用も下がり、毒素や老廃物が溜まってむくみやすくなります。
なお、メチオニンは肝臓に入り込んだ毒素の排出や血中のコレステロール値のバランスを取る働きがあるため、アルコールを過剰に摂取すると、肝臓で大量に消費される性質があります。
アルコールの過剰摂取は、頭皮や髪への栄養素の供給を妨げるため、抜け毛を助長する原因となるので注意が必要です。
一方でメチオニンを過剰に摂取すると、嘔吐やめまい、低血圧といった症状が現れる場合があるほか、動脈硬化の発症リスクを高める原因となります。
動脈硬化のリスクが高まるのは、メチオニンの過剰摂取により、血中のホモシステイン濃度が上昇するためです。
ホモシステインはLDL(悪玉コレステロール)と結合して、活性酸素に酸化されやすい性質があり、血管壁に付着することで血管内の肥厚や硬化を助長するため、動脈硬化を招く原因となるのです。
健康を害する過剰摂取の量は、100mg/体重1kgとされているため、サプリメントなどでメチオニンを摂取する際には、規定量を守ることをおすすめします。
メチオニンに期待できる効果とは
ここでは、メチオニンに期待できる主な効果を3つご紹介します。
アレルギー症状をやわらげる効果
メチオニンには、花粉症などのアレルギー症状を緩和する効果が期待できます。
人体には細菌やウイルス、花粉や食物など、体内の成分とは違う物質が侵入すると、異物として認識し排除する仕組みが備わっています。
その異物に対して反応する際、自身の身体を傷つけてしまう場合をアレルギー反応と呼びます。
アレルギー反応は、花粉などのアレルゲンが体内に入り込み、肥満細胞からヒスタミンが大量に放出されることで起こります。
ヒスタミンは通常、人体の細胞内に貯蔵され不活性の状態で存在しており、体内に侵入してきた異物の排除に作用するため放出されます。
外部からなんらかの刺激を受けて活性すると、かゆみやじんましん、鼻水といった症状を引き起こすわけです。
しじみに含まれるメチオニンには活性化したヒスタミンの働きを抑える作用があるため、アレルギー症状の緩和に有効なのです。
肝機能を保護する効果
メチオニンには、しじみの有用成分であるオルチニンと同じように、肝臓の代謝や解毒の機能を促す作用も備わっています。
また、水に溶けにくい脂質を溶けやすく変性させる乳化の働きもあり、アルコールや脂質の過剰摂取が招く脂肪肝を防ぎ、肝機能を保護しているのです。
肝臓中の中性脂肪を減らす働きで肝硬変や動脈硬化などの発症リスクを下げるため、メチオニンは正常な肝機能の維持に重要な役割を担っているといえます。
抜け毛や薄毛を防ぐ効果
しじみの摂取によって期待できる意外な効果には、抜け毛や薄毛予防が期待できる点が挙げられます。
髪の99%は、18種類のアミノ酸で構成されるケラチンというタンパク質で構成されており、そのケラチンはシステインという非必須アミノ酸が合成しています。
ケラチンに占める割合は約15~18%と、もっとも多いシステインは、メチオニンによって構成されている関係性にあるわけです。
メチオニンが毛髪を構成するアミノ酸全体に占める割合は1%ほどと少ないものの、システインの原料となる重要な成分のため、髪の健康維持を支えているのです。