しじみに含まれるグリコーゲン
しじみに含まれるグリコーゲン
しじみは肝機能を高める作用のある栄養素を含んでいるため、多くの健康効果が期待できる食材です。
疲労回復にも役立つしじみの成分の中には、エネルギー源として直接利用できる「グリコーゲン」も挙げられます。
人体の生命維持や活動にはエネルギーが不可欠ですが、このエネルギー源となるのがブドウ糖などの糖質で、ブドウ糖がいくつもつながった形で体内に貯蔵されるのがグリコーゲンです。
同じエネルギー源である脂質よりも早く分解・吸収されるため、速やかにエネルギーを補給する必要がある場合、グリコーゲンは非常に役立つのです。
この記事では、しじみに含まれるグリコーゲンやその主な働きについてご紹介します。
グリコーゲンとは
グリコーゲンとは、多数のブドウ糖(グルコース)がつながった多糖類で、動物のほとんどの細胞に見られるため「動物デンプン」とも呼ばれています。
生体内における糖質の主要な貯蔵形態として存在し、特に肝臓や筋肉中に多く含まれています。
グリコーゲンは肝臓内や筋肉中で分解されてブドウ糖となり、血中のブドウ糖量(血糖量)を保ったり、筋肉やその他の組織のエネルギー源となったりする働きがあります。
また、食間など血糖値が低下すると血液中にブドウ糖を放出し、人体の活動に必要なエネルギーを供給しています。生体のエネルギーの根本となるのは糖質ですが、そのままでは効率よく利用できないため、体内でグリコーゲンに変換されるわけです。
ただし、同じエネルギー源として利用される脂肪ほど貯蔵に適さないため、一時的にエネルギーを蓄えておく役割に留まっています。
細胞のエネルギー源となるブドウ糖を安定して、速やかに供給できる形で貯蔵しておくことがグリコーゲンの機能なのです。
そして、グリコーゲンの余剰分は中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられます。
脂肪細胞への糖質の貯蔵量には基本的に上限がなく、糖質を摂りすぎると肥満につながるため注意が必要です。
グリコーゲンの作用とは
グリコーゲンは人体内では主に肝臓や骨格筋で合成され、さまざまな働きをします。
ここではグリコーゲンの主な作用や得られる効果についてご紹介します。
疲労を回復させる
人体の主なエネルギー源である糖質が体内で不足すると、疲れやすくなります。
食事で摂取した糖質がエネルギーとしてすぐに供給されない場合、肝臓に貯蔵されたグリコーゲンをブドウ糖に分解して必要な組織に供給されます。
また、急激な運動をおこなう際、筋肉に含まれる筋グリコーゲンがエネルギーとして利用されます。
空腹時の糖質不足や、肉体的・精神的な疲労が生じると、グリコーゲンはブドウ糖に分解されて利用されることで、疲労回復を促す働きを担っているわけです。
脳の働きを活性化する
ブドウ糖は特別な場合を除き、脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質のため、脳の働きを活性化して集中力や記憶力を高める効果が期待できます。
睡眠中であっても脳はエネルギーを消費しているため、朝の起床時にはグリコーゲンがほとんど消失している状態です。
また、人は空腹時にイライラする傾向がありますが、血糖値が低下し脳のエネルギー量が不足するのが大きな原因と考えられています。
グリコーゲンを摂取すると脳に効率よくエネルギーを供給できるため、集中力の向上やイライラの緩和などにつながるわけです。
血糖値を調整する
血糖値とは血中に含まれるブドウ糖の濃度のことで、食前と食後で変動する性質があり、低すぎると低血糖を、高すぎると高血糖を招きます。
食事で摂取した糖質が消化・吸収されブドウ糖となって血液中に入るため、血糖値は食前と食後で変動するわけです。
血糖値が上がると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、ブドウ糖が身体の細胞に取り込まれエネルギー源として利用されます。
余分なブドウ糖はグリコーゲンに変換され、血糖値を下げてバランスを取る働きをします。
また、空腹時には血糖値が下がるため、この際には膵臓からグルカゴンというホルモンが分泌されてグリコーゲンをブドウ糖に分解し、血糖値を正常に戻すためのエネルギーとして利用します。
このようにグリコーゲンは血糖値を調整し、血中の糖の減少による動悸や手足の震えといった症状を抑える役割も果たしているのです。
しじみに含まれるグリコーゲンについて
しじみに含まれるグリコーゲンの元となる糖質の量は4.3g/100gと、貝類の中では比較的多くなっています。
食事などで摂取した糖質は、グリコーゲンシンターゼというグリコーゲン合成酵素の作用によって分解されたのち、肝臓に貯蔵されます。
肝臓にストックされたグリコーゲンのみが他の器官や臓器でも利用でき、必要に応じて即エネルギーとなるのです。
また、しじみには肝機能を高める作用のあるオルチニンやタウリンが含まれているため、肝臓内でのグリコーゲンの合成や分解機能も高めています。
中でもタウリンには、インスリンの分泌を促し血糖値を下げる効果が期待されているため、グリコーゲンの血糖値の調整作用をサポートすることにもなるわけです。