しじみを食べて健康になろう

しじみに含まれる亜鉛

しじみに含まれる亜鉛

しじみに含まれる亜鉛は、味覚を正常に保ったり、皮膚や粘膜の健康維持を助けたりする作用を持つ必須ミネラルの一つです。
しじみには、鉄やカルシウムなどのミネラル類が含まれており、亜鉛はそれらに次いで含有量の多い成分に当たります。
亜鉛は細胞の生まれ変わりが活発な部位に不可欠な栄養素で、人の体内では、新陳代謝が盛んにおこなわれる部位に多く含まれているのが特徴です。
この記事では、しじみに含まれる亜鉛についてご紹介します。

亜鉛とは

亜鉛とは、人体の健康と栄養維持に必要な栄養素で、全身の細胞内に存在している必須ミネラルの一種です。
人体の活動に必要な代謝の過程で働く酵素の構成成分でもあり、タンパク質や遺伝物質を合成するために不可欠な成分です。
亜鉛は体内に約1.4~2.3g存在していて、その95%は細胞内にあって新陳代謝を助ける中心的な役割を担っています。
人体では血液や皮膚に特に多く含まれているほか、中でも歯や骨、肝臓や腎臓、筋肉など新陳代謝が活発な細胞に含有量が多いという特徴があります。

亜鉛の吸収

食物から摂取した亜鉛は、その消化によって生じるアミノ酸・有機酸・リン酸などと複合体を形成して小腸で吸収されます。
主に十二指腸や空腸から吸収され、アルブミンというタンパク質と結合して肝臓に運ばれます。
小腸での亜鉛の吸収率はおよそ30%といわれていますが、その摂取量や同時に摂った鉄や銅の量と相互に影響しあい変化するのが特徴です。
亜鉛の吸収は、昇圧剤などの服用や偏食によって阻害される場合があります。
インスタント食品やレトルト食品、冷凍食品といった加工食品には、亜鉛の吸収を妨げるリン酸塩などの添加物が含まれているため、食生活には注意が必要です。
また、穀類など食物性食品に含まれる食物繊維やフィチン酸は、亜鉛と結合して吸収率を下げる性質があります。
亜鉛を効率よく摂取するには、貝類や肉類、魚介類などの動物性食品を意識的に摂ることが推奨されているのです。

亜鉛は不足しやすいミネラル

亜鉛などの人体に必要な必須ミネラルは16種類あり、体内に含まれる量によって「主要ミネラル」と「微量ミネラル」とに分けられています。
亜鉛は微量ミネラルに属する栄養素ですが、その中でももっとも不足しやすい成分です。
体内の約2gという所要量は、同じミネラルである鉄とほぼ同量ですが、鉄より亜鉛のほうが尿からの排出量が多いのです。
その量は加齢とともに増えるため、食事から積極的に摂り入れる必要があります。
また、成長期で必要量が増す子どもや偏った食習慣のある人、高齢者などは、食事での摂取不足により欠乏しやすくなるといわれています。

亜鉛の不足と過剰の問題とは

亜鉛の不足は、食事からの摂取不足や必要量の増加、排泄の促進などによって起こります。
また、減量手術など消化管手術を受けた人や潰瘍性大腸炎など消化器疾患のある人は、体内で吸収される亜鉛の量が減り、尿と共に排泄される量が増えるため、不足すると考えられています。
亜鉛不足によって現れる症状には、味覚障害や食欲低下、皮膚炎や脱毛、胃腸障害や下痢、貧血といったものが挙げられます。
男性の場合、精子の数が減るなどの性機能低下が起こる場合があり、女性では妊娠中に亜鉛不足になると胎児の成長不良や奇形を招く可能性もあります。
亜鉛は毒性が極めて低いとされているため、通常の食生活では亜鉛の過剰摂取による影響が問題となることはあまりないといわれています。
ただし、急性亜鉛中毒では吐き気や嘔吐、食欲不振や胃痙攣、下痢といった兆候が見られます。
長期にわたって過剰摂取を続けると、銅や鉄の吸収阻害による銅欠乏や鉄欠乏が問題となって、それに伴う諸症状が現れる恐れがあります。

しじみの亜鉛含有量と亜鉛の推奨摂取量とは


亜鉛の摂取推奨量は年齢によって異なりますが、

  • 15歳以上の男性 11mg/日
  • 15歳以上の女性 8mg/日

とされています。
女性の場合、妊婦であれば2mg、授乳中であれば3mgの付加がそれぞれ必要といわれています。
亜鉛を多く含む食品には、牡蛎や肉類、魚介類など動物性食品が挙げられ、しじみもその内の一つです。
中でも含有量の多い食材といえば牡蛎で、100gあたり13.2mgが含まれています。
しじみに含まれる亜鉛は2.1mg /100gとなっており、数値では牡蛎に及ばないものの、通年流通していて牡蛎より安価に手に入る点がメリットといえます。
亜鉛は人体の健康に不可欠な栄養素である反面、排出される量が多いため、一定量を日々摂取する必要があります。
しじみは普段の食事に手軽に活用できるので、亜鉛を摂るために続けやすい食材といえるのです。