しじみを食べて健康になろう

しじみと梅干しの相乗効果

しじみと梅干しの相乗効果

しじみの調理法といえば、味噌汁や佃煮など単独で具材に用いるイメージが強いですが、他の食材と合わせることで幅を広げることができます。
そのうえ、組み合わせる食材によって、お互いの持つ効果を高め合うことも可能です。
うどんやお茶漬け、パスタといった調理でしじみと一緒に使われる梅干しは、しじみに含まれる栄養成分の働きをサポートしているのです。
この記事では、しじみと梅干しを組み合わせることで、どのような相乗効果が期待できるのかをご紹介します。

梅に含まれる有機酸とその効果について

梅干しの材料になる梅は、熟しても甘くならずに強い酸味を持つのが特徴の果実です。
ミネラル類を豊富に含んだ強アルカリ食品で、クエン酸をはじめとする強い殺菌力と抗菌作用を持つ有機酸が多く含まれています。
ここでは、梅に含まれる酸味成分と、それに期待できる効果についてご紹介します。

疲労回復を促す効果

梅の果肉には、酢や柑橘類に多く含まれるクエン酸や、肝臓内のTCA回路(クエン酸回路)を構成するコハク酸、リンゴ酸といった有機酸が含まれています。
中でも梅干しの酸味成分であるクエン酸は、人体の生命維持や活動に欠かせないエネルギーを作り出すTCA回路を活性化する役割を担っています。
TCA回路は糖質やタンパク質・脂質の代謝に重要な経路で、食事によって体内に摂取された栄養素を、酵素やビタミンなどがエネルギーに変換する仕組みを指します。
TCA回路を構成する中心的な役割を果たすクエン酸は、栄養素の代謝を促しエネルギーへのスムーズな変換を助けることで、疲労回復や疲れにくい身体づくりに役立っているのです。

食欲を増進させる効果

クエン酸をはじめとする梅の酸味成分には、唾液の分泌を促し食欲を増進させる作用があります。
また、胃腸の働きを促すカテキン酸などの働きで消化器官が刺激され、胃酸や消化酵素の分泌を促し、栄養の消化・吸収を助けています。
腸のぜん動運動を活性化するピクリン酸には便通を改善し、腸内環境の改善効果も見込めるなど、梅に含まれる有機酸は消化器官の働きに深く関わっているのです。

ミネラル類の吸収を促す効果

梅干しに含まれているクエン酸は、人体の機能を維持したり調節したりする作用のあるミネラル類の吸収を促す働きがあります。
人体にとって重要な働きをするものの、不足しがちなものが多いミネラル類は、その吸収を促す作用を持つ成分と同時に摂るのが推奨されています。
クエン酸は、吸収率の低い栄養成分を摂り込みやすい形に変性するという「キレート効果」を備えた成分です。
鉄やカルシウムといった、人体に吸収されにくく不足しがちな栄養素の吸収を促す重要な役割を果たしているのです。

しじみと梅干しに期待できる相乗効果とは

肝機能を強化する効果

しじみと梅干しを合わせることで期待できる相乗効果には、肝機能強化が挙げられます。
しじみには肝臓内のオルチニン回路を活性化する成分のオルチニンや、アルコールの分解過程で発生するアセトアルデヒドや化学薬品など有害物質の解毒を促すタウリンなどが含まれています。
これらの成分が肝臓の代謝や解毒機能を助けることで、肝臓の負担を軽減したり機能を高めたりする効果が期待できるのです。
梅干しにも肝機能を高める作用のあるピクリン酸が含まれており、正常な肝機能を維持し、疲れにくい身体づくりに役立っています。
梅干しに含まれるピクリン酸のこの働きは、二日酔いの予防や回復にも有効とされています。
肝機能の低下は全身の疲労に直結するため、肝臓の働きを助ける成分を互いに含むしじみと梅干しを組み合わせることで、肝機能を強化する相乗効果が期待できるのです。

ストレスを緩和する効果

しじみはカルシウム含有量が多い食材で、130mg/100gと貝類の中では最上位に位置しています。
カルシウムは人体の成長や生命維持に関わる作用を数多く持つ重要なミネラルですが、吸収率が低く、不足しやすい栄養素の一つでもあります。
その主な働きには、丈夫な骨や歯を作り強度を保つ作用が挙げられ、骨はカルシウムの貯蔵庫としての役割も担っています。
体内の器官でカルシウム不足が生じた際に、骨に貯蔵されたカルシウムが血中に溶け出し、不足分を補うわけです。
また、カルシウムは正常な神経伝達を維持するほか、外部からのストレスを緩和し緊張や興奮を鎮めて精神を安定させる効果が期待できるのです。
逆にカルシウム不足が続くと、歯や骨がもろくなるだけでなく、イライラや神経過敏を引き起こしたりする原因ともなります。
前述のように、梅干しにはカルシウムなどのミネラルの吸収を促すためのキレート効果を備えた有機酸が複数含まれています。
クエン酸などが吸収率の低いカルシウムの吸収を促すと、カルシウムが骨から持ち出されるのを予防でき、骨でのカルシウム沈着率が高まる効果が期待できます。
しじみの高いカルシウムの含有量を無駄なく活かすには、カルシウムの吸収を促すクエン酸を含む梅干しと組み合わせて摂取するのが適しているといえるのです。