しじみを食べて健康になろう

しじみの味噌汁のメリット

しじみの味噌汁のメリット

しじみは一般に肝臓によい食材で、味噌汁にして摂ると二日酔いに効果的としてよく知られています。
しじみは肝機能を助けたりする成分を多く含んでいるだけでなく、複数のうま味成分を含んでいるため、味噌汁に用いるのに最適な食材の一つといえます。
砂抜きなどの準備は要るものの、調理の手間がほとんどかからないしじみの味噌汁は、肝機能の維持や強化のために普段から摂り入れるのがおすすめです。
この記事では、しじみの味噌汁のメリットなどをご紹介します。

しじみの味噌汁にはうま味成分が豊富

しじみには、「コハク酸」や「グルタミン酸」などのうま味成分が複数含まれています。
「あさりは身をしじみは汁を」といわれているように、うま味成分を多く含むしじみは出汁を取る必要がなく、汁物に適した食材なのです。
コハク酸とは、琥珀を乾留して得られた有機酸の一種で、食品添加物に指定されている成分でもあります。
天然ではしじみなどの二枚貝や菌類に含まれており、貝類のうま味成分として知られている物質で、熱湯には溶けやすく冷水には溶けにくい性質があります。
添加物でのコハク酸は一般に、ナトリウムと結びついた形のコハク酸ナトリウムとして使用されます。
コハク酸ナトリウムには「コハク酸一ナトリウム」と「コハク酸二ナトリウム」とがあり、後者は日本人の嗜好にもっとも合ううま味成分で溶解性と浸透性が高いため、複合調味の要素として注目されています。
しじみに含まれるグルタミン酸とは、人の体内でも合成できる非必須アミノ酸の一つで、最初に発見されたうま味物質でもあります。
グルタミン酸は1866年にドイツの科学者によって発見されたのち、1908年に日本の科学者によってうま味成分として認知された経緯があります。
それまでの甘味・塩味・酸味・苦味の4つの基本味に続く、第5の基本味である「うま味」としてグルタミン酸は存在するようになったわけです。
しじみの他にもコンブなどの海藻類、緑茶や白菜といった植物性食品のうま味成分として含まれており、日本人の食生活ではなじみが深いといえます。
グルタミン酸もナトリウムと結びついた形で用いると水に溶けやすくなり、よりうま味を増すことが分かっています。
しじみに含まれるうま味成分の特性は、複合して使用するとうま味を格段に高められることです。
アミノ酸の豊富な味噌は、大豆タンパク質が酵素によって加水分解されており、消化しやすい状態で摂り込めるため栄養素の吸収率が高まります。
しじみの味噌汁は、うま味成分同士を組み合わせて作られるもののため、その相乗効果を発揮する調理法といえるのです。

しじみの味噌汁の摂取で得られるメリットとは

「味噌汁は朝の毒消し」ということわざがあるように、味噌は健康に有益な効果が古くから認められているすぐれた発酵食品です。
しじみは小ぶりな貝ながら、さまざまな成分を含んだ栄養価の高い食材のため、味噌と組み合わせることにより相乗効果が期待できます。
しじみの味噌汁で得られる主なメリットをご紹介します。

しじみの味噌汁で肝機能を向上

しじみの味噌汁で得られるメリットには、肝機能を高める効果が期待できる点が挙げられます。
前述したグルタミン酸はうま味成分として存在すると共に、アンモニアを解毒し尿として体外への排出を促す働きを持つ成分です。
タンパク質の代謝や過度の運動でも発生するアンモニアは人体に有害な物質であり、体内での濃度が高まると神経伝達物質の働きを妨げ、脳障害などを引き起こす可能性があります。
さらに、人体の生命維持や活動に必要なエネルギーとなるATP(アデノシン三リン酸)の生産を妨げる物質でもあります。
しじみの有用成分であるオルチニンも、肝臓内に存在するオルチニン回路を活発にし、アンモニアの分解・解毒を促す作用があります。
オルチニンはもともと人体内に備わっている遊離アミノ酸ですが、しじみなどで補うとオルチニン回路の機能を強化する効果が期待できます。
しじみの味噌汁が肝臓によいといわれるのは、グルタミン酸やオルチニンなどの肝機能を助ける成分の作用によるものなのです。

しじみの味噌汁で疲労を回復

しじみの味噌汁は疲労回復の効果が見込めるのもメリットといえます。
アンモニアは代謝過程におけるTCAサイクル(クエン酸回路)でのミトコンドリアの働きを低下させ、エネルギー生産を阻害し疲労の元になる物質でもあります。
前述のオルチニンによるアンモニアの分解・解毒を促す作用によって、肝機能を助け疲労回復を後押ししているのです。
また、しじみに含まれるグリコーゲンは、エネルギー源として直接利用できる性質を持つため、身体だけでなく脳の疲労回復に役立ちます。
グリコーゲンは多数のブドウ糖が結合した多糖類で、そのブドウ糖は脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質のため、グリコーゲンの摂取は効率的な脳のエネルギー補給となるわけです。
しじみにはこれらの疲労回復に作用する成分が含まれているため、味噌汁で摂ることでその効能が得られるのです。