しじみを食べて健康になろう

しじみにDHAは含まれている?

しじみにDHAは含まれている?

脂肪酸の一種であるDHA(docosahexaenoic acid:ドコサヘキサエン酸)は、サバやマグロなど、いわゆる青魚に多く含まれている脂としてよく知られています。
DHAは血行をよくする働きや、脳や心臓の健康を保つ役割を担うなど、人体にとって重要な成分ですが、多くの人が摂取不足に陥っているのです。
肝臓によい食材の一つであるしじみは、多様な栄養成分を含む貝類で、健康的な脂であるDHAも含んでいます。
この記事では、しじみにも含まれるDHAには、具体的にどのような作用や効果があるのかについてご紹介します。

DHAとは

DHAとは、魚介類から取れる22の炭素原子を持つオメガ-3系脂肪酸で、人の体内ではEPA(エイコサペンタエン酸)から合成される物質です。
主に青魚に含有量が多い健康的な脂肪で、特にサバやマグロ、サンマやイワシに豊富なほか、イヌイットの主食であるアザラシの脂にも含まれています。
体内に摂取されるとすぐに利用できる性質をもち、細胞内や細胞間の伝達に携わる構成要素であると共に体内の全細胞の構成成分のため、特に重要な物質の一つなのです。
同じような作用をもつEPAと異なる点は、脳や網膜に存在する比率はDHAのほうが多く、中枢神経に作用することや抗炎症作用が高いといった点です。
DHAは脳組織に含まれるオメガ-3系脂肪酸の90%以上を占め、脳の健康を維持するために重要な働きをします。
また、人体が太陽光を適切に利用するのを補う役割も果たしていると考えられており、睡眠の質を高めたり、精神を安定させたりする効果も期待できます。
DHAの大きな特徴は低温でも固まらない点で、牛や豚など動物由来の脂質は常温でも固まる一方、魚介類の脂はマイナス40℃でも液状を保つほどの柔軟性があります。
DHAの持つ柔軟性が細胞膜をやわらかくするために作用するので、人体に対してさまざまに有益な効果をもたらしているわけです。

DHAの作用や健康効果とは

しじみなど主に魚介類に由来するDHAには、人体にさまざまな健康効果が見込まれています。
ここでは、DHAの持つ主な作用や効果についてご紹介します。

血行を改善する効果

DHAには血液が固まるのを防ぎ、血管内に血栓をできにくくする働きがあると同時に、血管壁の細胞膜をやわらかくする作用があるため、血行の改善効果が期待できます。
そのためDHAの摂取は、心筋梗塞や脳梗塞の予防に有効とされています。
また、中性脂肪を減らしてHDL(善玉コレステロール)を増やす働きもあり、DHAを十分に摂取すると動脈硬化や高脂血症などの生活習慣病を防ぐことにもつながるわけです。

精神を安定させる効果

DHAなどのオメガ-3系脂肪酸は、うつ症状を緩和する効果があるという研究報告がなされていることから、精神を安定させる効果も見込めます。
血中のDHA濃度が低いと、精神を安定させる働きのある脳内の神経伝達物質「セロトニン」の量が減少し、ドーパミンやノルアドレナリンなどのコントロールが不安定になります。
すると精神も安定を欠き、攻撃性が高まったり、不安感やうつ症状などを引き起こしたりすることになるわけです。
DHAの十分な摂取はセロトニンの濃度を維持したり高めたりすると共に、脳への不要な物質の侵入を防ぐ血液脳関門の機能も正常に保たれるため、精神安定に有効といえるのです。

目の健康維持や向上させる効果

DHAは人体内で脳や目の網膜に多く存在し、特に網膜に集中している特徴があります。
網膜内の不飽和脂肪酸のおよそ40%を占めているため、目の健康を向上させたり、網膜の機能を保護する細胞膜をサポートしたりする役割を担っているのです。
DHAを積極的に摂ると、近視や動体視力の改善効果が期待できるほか、黄斑変性の進行を遅らせる可能性があるとの調査報告もあります。

脳の健康を維持する効果

脳機能を最適にしたり健康を維持したりするには、DHAの十分な摂取が推奨されており、知力の向上にも役立つと考えられています。
DHAには、脳を含む全身に抗炎症作用を発揮して脳細胞を保護する効能や、脳内の神経伝達物質などに対する反応を改善する役割があります。
記憶に関わる脳の「前頭前皮質」の領域を活性したり、視覚を処理する「後頭皮質」や運動制御の役割を担う「小脳皮質」などを活発にさせたりする作用が、研究で明らかにされているのです。
また、DHAを多く摂ると、加齢に伴う知力の衰退やアルツハイマー病を招く脳細胞破壊を防ぎ、それらの進行を遅らせ障害発生のリスクを下げることにもつながります。

しじみのDHA含有量やDHAの推奨摂取量とは

DHAなどオメガ-3系脂肪酸の必要摂取量は定められていないものの、健康な成人は250~500mg/日のDHAをEPAと共に摂取することが、健康関連機関によって推奨されています。
しじみに含まれるDHAの量は、生食では53mg/100g、水煮では140mg/100gとなっています。
値としては高くないものの、しじみはDHA以外にも多様な栄養成分をバランスよく含むうえに比較的安価に入手できるため、普段の食事に取り入れやすいのがメリットです。
魚料理が苦手な人や青魚を日々摂るのが難しい人は、調理もしやすいしじみを活用するのも一つの方法といえるでしょう。