しじみを食べて健康になろう

しじみがアンモニアを分解

しじみがアンモニアを分解

人体の生命活動に必要なエネルギーの生産を妨げ、疲労の元になると考えられているアンモニアは、人体に有害な物質です。
アンモニアは食べ過ぎやアルコールの過剰摂取、激しい運動などによって多量に発生し、肝臓がその分解に追われると、肝機能の低下や疲労を招く原因となります。
肝機能が衰えることでアンモニアの血中濃度が上昇すると、脳障害に発展する場合もあるため、無害で水溶性の物質に分解し、体外に排出する必要があるのです。
しじみは特に肝臓によい食材として古くから知られており、その効能はアンモニアを分解する働きのあるオルチニンなどの有用成分を含んでいるためです。
この記事では、しじみに含まれるアンモニアを分解する成分や、その特徴と働きについてご紹介します。

アンモニアとは

アンモニアは、食品に含まれるタンパク質や腸管内の分泌液に含まれる尿素が、小腸粘膜や大腸内細菌によって分解されて発生する物質です。
主に腸管内や腎臓で生み出されたあとに血中に放出され、肝臓に運ばれてオルチニン回路に入り、無毒な尿素に変換されて排出されます。
アンモニアは神経毒性があり、神経細胞のエネルギー生産を阻害したり、神経伝達物質の分泌を低下させたりします。
肝機能が衰えていると、オルチニン回路の機能が妨げられてアンモニアを分解処理できなくなり、アンモニアの血中濃度が高まると脳障害を発症する可能性もあるのです。
また、アンモニアはエネルギー生産をおこなうクエン酸サイクルの働きを阻害することも判っています。
肝臓には、消化器官で分解された栄養素を体内の各器官の働きに応じた形に変換する代謝機能が備わっています。
この重要な働きを妨げるのがアンモニアであり、肝臓の機能が低下すると代謝や解毒などの働きが不十分になり、疲労感となって現れるわけです。

しじみに含まれるアンモニア分解作用のある成分とは

しじみには、アンモニアを分解する作用に優れた成分が2つ含まれています。
ここでは、それぞれの特徴や働きについてご紹介します。

オルチニン

しじみに含まれる「オルチニン」は、肝臓内のオルチニン回路を活性化し、アンモニアの分解を促す作用があります。
尿素回路とも呼ばれるオルチニン回路とは、肝細胞内に存在し尿素を生成する代謝経路で、アンモニアは肝臓中のオルチニンと反応して無毒な尿素に変換されます。
オルチニンにはこの機能を活性化させる働きがあり、アンモニアの分解を促し血中での濃度を下げることで、エネルギー生産にも貢献していると考えられているのです。
アンモニアがオルチニン回路で分解されるメカニズムを簡単にご紹介します。
オルチニンは、肝臓のミトコンドリア内でカルバモイルリン酸と反応し、遊離アミノ酸のシトルリンに変化します。
シトルリンは代謝によってアルギニノコハク酸を経てアルギニンに変性し、最終的にアルギナーゼという酵素に加水分解されることで、オルチニンと尿素が生成されます。
このように、毒性の強いアンモニアを無毒な尿素に変えて、体外に排泄しているわけです。
アンモニアの処理能力はオルチニン回路がもっとも高いとされ、オルチニンはその機能に重要な役割を担っています。
もともと体内に存在する物質ですが、オルチニンを多く含むしじみを摂取することで、オルチニン回路の活性化のために補充され、その機能を高めているのです。
さらにオルチニンは、アンモニアの分解を促すことでミトコンドリアの働きも高め、体内の効率的なエネルギー生産を後押しし、肝臓全体の機能を維持するためにも役立っています。

タウリン

しじみに含まれる「タウリン」も、オルチニンと同じく肝機能を高め、アンモニアの分解に役立つ成分です。
タウリンは硫黄を含んだ含硫アミノ酸の一つであり、人の体内で合成できる物質で、体内では胆汁酸と結合しタウロコール酸の形で存在しています。
含有量は心臓に特に多く、次いで筋肉や肝臓、腎臓や肺、脳などにも含まれる成分です。
タウリンの肝臓に関する主な働きには、

  • 脂肪の消化や吸収を助ける胆汁酸の分泌を促す
  • 肝細胞の再生を促す
  • 細胞膜を安定させる

といった作用が挙げられます。
肝機能に働きかけることで、体内で発生したアンモニアや、体内に入るアルコールや化学薬品・食品添加物などの物質を分解して無毒化し、体外に排泄する作用を果たしているのです。
また、タウリンには、体内の状態を一定に維持するための機能である「ホメオスタシス」の作用があります。
人体の恒常性維持に作用するため、体内の機能が過剰になるのを抑えたり、機能が低下した場合には改善させたりして一定のバランスを保っているわけです。
タウリンの肝臓へ対するホメオスタシスの作用により、肝細胞の再生を促し、肝機能を強化することでもアンモニア分解に貢献しているのです。
しじみのタウリンの含有量は32mg/100gと、値としては決して高くはありませんが、比較的安価で継続しやすい食材のため、肝機能維持に役立てるのをおすすめします。